この章ではまずエタンを例にして,単結合のまわりの回転によって分子の形,したがって分子のエネルギーがどのように変化するかを学ぶ.結合の回転と分子構造,分子エネルギーの関係の研究を配座解析という.配座解析を有効に行なうのに便利なNewman投影図を駆使してプロパン,ブタン,さらには多置換エタンの配座解析を試みる.また順位規則をやや拡張して,配座異性体を命名する.
本章を終えると、以下のことができるようになる.
以下の用語の半分以上の内容が頭に浮かぶようであれば、直ちに問題に取り組んでよい。
そうでない場合は、身に付いていない用語をクリックして見直してから問題に取り組もう。
木びき台画法
くさび画法
Newman投影図
配座解析
ねじれ角一エネルギー図
コンホマー(配座異性体)
重なり形
ねじれ形
アンチ形
ゴーシュ形
ねじれ角
ペリプラナー
クリナル
S2.1 配座解析
配座解析:単結合の回転に伴う分子の構造変化(当然ポテンシャルエネルギーや化学反応性の変化を伴う)の解明.
ねじれ角一エネルギー図:横軸にねじれ角、縦軸に分子の(ポテンシャル)エネルギーをプロットした図.簡単な分子の配座解析に不可欠.
S2.2 重なり形とねじれ形
重なり形3:ねじれ角が0ー±120ーnであるエタン誘導体の配座.
ねじれ形4:ねじれ角が60ー±120ーnであるエタン誘導体の配座.
S2.3 ゴーシュ形とアンチ形
ゴーシュ形 : ねじれ角が60ーである1,2-二置換エタンの配座.
アンチ形(トランス形):ねじれ角が180ーである1,2-二置換エタンの配座.
S2.4 自由エネルギー差と異性体の組成の対応表をまとめた.
ΔG = -2.303 RT log K
コンホマーの自由エネルギー差と存在比
| K (298K) | 2 | 3 | 4 | 5 | 10 | 20 | 100 | 1000 | 10000 |
| 安定な形の存在比(%) | 67 | 75 | 80 | 83 | 91 | 95 | 99 | 99.9 | 99.99 |
| -D G [kJ/mol] | 1.71 | 2.72 | 3.43 | 3.97 | 5.85 | 7.52 | 11.3 | 17.1 | 23.0 |
ねじれ角θ 名称 記号
0±30ー (±)シンペリブラナー synperiplanar (±)sp
+30ー〜+90ー
+シンクリナル synclinal +sc
+90ー〜+150ー
+アンチクリナル anticlinal +ac
+150ー〜+180ー
(+)アンチペリプラナーantiperiplanar (+)ap
-30ー〜-90ー -シンクリナル synclinal -sc
-90ー〜-150ー -アンチクリナル anticlinal -ac
ー150ー〜-180ー (-)アンチペリプラナーantiperiplanar (-)ap