この章ではジクロロエチレン,フマル酸とマイレン酸を例にして,二重結合まわりの回転が束縛されているため(エネルギー障壁が高いため),幾何異またはシス,トランス異性が起こることを学ぶ.シス・トランスの別があいまいな複雑な化合物に対して適用できるZ,E表示をも利用する.
さらに進んだ考え方として,これまで幾何異性と配座異性の関係は,二重結合のまわりの回転と,単結合のまわりの回転との関係とみなされてきたが,むしろ回転の障壁の大きさに関連づけられるべきであることを学ぶ.
ジエン類におけるs-トランスおよびs-シス異性についても学ぶ.
本章を終えると,以下のことができるようになる.
以下の用語の半分以上の内容が頭に浮かぶようであれば、直ちに問題に取り組んでよい.
そうでない場合は、身に付いていない用語をクリックして見直してから問題に取り組もう.
シス,トランス異性
幾何異性
シス形
トランス形
Z配置
E配置
s-トランス形
s-シス形
S3.1 シス,トランス異性(幾何異性)
シス形:2つの同種リガンドが二重結合に関して同じ側にあるもの.
トランス形:2つの同種リガンドが二重結合に関して反対側 にあるもの.
S3.2 Z
,E
命名法
Z(またはseqcis)配置:優先順位の高いリガンドが二重結合に関して同じ側.
E(またはseqtrans)配置:優先順位の高いリガンドが二重結合に関して反対側.
S3.3 コンホマーと配置異性体
コンホマー:100 kJ mol-1 以下のエネルギーで隔てられた立体異性体.
配置異性体:1OO kJ mol-1 以上のエネルギーで隔てられた立体異性体.